婦人科
◆カンジダ外陰膣炎
痒みとヨーグルト様の帯下を自覚された際に疑います。
どなたも発症する可能性があります。
抗真菌剤の腟錠と軟膏で治療します。
◆細菌性膣症
臭いのある黄色の帯下を自覚された際に疑います。
抗生剤の腟錠と内服の治療があります。
ガードネラ菌、モビルンカス菌が多い場合、切迫流産、切迫早産、破水の原因になる事もあり、妊娠20週までに内服治療とします。
◆萎縮性膣炎
膣の乾燥感、しみる等の刺激症状、性交痛を自覚された際に疑います。
エストロゲンの腟錠で膣粘膜の再生を促し潤いを戻します。
細菌性膣症合併時は、抗生剤の腟錠も使用します。
◆トリコモナス膣炎
痒みと黄色の帯下を自覚された際に疑いますが無症状の方も居ます。
性感染症ですが、その他の感染経路もあり、処女の方にも見つかる事があります。
抗原虫剤の内服もしくは腟錠で治療します。
◆クラミジア子宮頸管炎
性感染症の一つで帯下感、性交時の出血、下腹痛等がありますが殆どは無症状です。
自然治癒もありますが、子宮頸管炎から奥に進展し、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎を起こすと卵管が閉塞し不妊の原因と成り得ます。
子宮頸管のクラミジア抗原検査で、其処にクラミジアが居るか確認します。
奥に入ったクラミジアは、採血で抗体の値を調べます。
抗生剤を内服し、抗原が陽性の場合、数週間後に陰性を確認します。
抗体が陽性の場合、1ヶ月以上開けて値が下がった事を確認します。
妊婦さんが抗原陽性の場合、切迫流産、切迫早産、破水の原因になったり、産道感染で赤ちゃんに結膜炎等を発症する事があり、妊娠15週頃に抗生剤を内服し、数週間後に治癒判定とします。
パートナーは泌尿器科で検査、治療とします。
◆淋菌感染症
性感染症の一つでクラミジアと同様の症状と経過を辿ります。
抗生剤に効きにくい耐性菌があり点滴治療が理想ですが、当院は出来ないため治癒率の高いシロップを処方します。
パートナーは泌尿器科で検査、治療とします。
◆尖圭コンジローマ
性感染症の一つです。
ローリスクのヒト乳頭腫ウイルス ( HPV ) の6型、11型が原因の鶏冠状の疣 ( いぼ ) です。
専用の軟膏を1日置きに塗り、治療効果を見ていきます。
◆性器ヘルペス
ヘルペスウイルスが原因で出来る水疱で、破れ痛みを伴います。
抗ウイルス剤の内服と軟膏で治療します。
細菌感染合併時は、抗生剤の内服も併用します。
痛みが強い場合、局所麻酔のゼリーも併用します。
◆子宮癌検診
子宮頸癌、子宮体癌、必要に応じ超音波で卵巣腫瘍の有無を確認をします。
必要に応じ、保険診療で出来ます。
松本市の受診券は20歳以上の方に届きます。
30歳以上の方はHPV検査も出来ます。
◆HPV検査
子宮頸癌は150種類以上あるヒト乳頭腫ウイルス ( HPV ) のうち15~16種類のいずれかのハイリスクHPVの持続感染で発症します。
殆どの女性は感染した既往があり免疫で排除されますが、喫煙などで免疫が落ちていると排除されず細胞の変化 ( 異形成 ) を起こします。
いきなり癌になるのでは無く、自然治癒が多い CIN1から2 ( 軽度から中等度異形成 ) から治療を要する CIN3 ( 高度異形成、上皮内癌 ) 、放置すると粘膜を破り浸潤癌に進展します。
検診の目的は、早期の段階 ( CIN1~2 ) での発見です。
細胞診に異常無く、HPV検査が陰性なら、この先、3年程は子宮頸癌の心配は無いと判断されます。
細胞診に異常無く、HPV検査が陽性の場合、今後、進展の可能性もあり半年毎に細胞診で経過を追います。
HPV検査を同時施行する事で、CIN1への進展の可能性が分かり、早期発見に繋がります。
進展しても CIN3 迄なら妊娠の可能性を残した手術が可能です。
これから子作りが必要な若い方に増えていますので、20歳を過ぎたら定期検診をお勧めします。
◆子宮筋腫
30歳代以上の女性の3割に見つかる良性腫瘍です。
超音波で位置と大きさを測り、採血で鉄欠乏性貧血の有無等を調べ、経過観察か治療か判断します。
◆子宮内膜症
子宮内腔以外の場所 ( 卵巣、腹膜、子宮筋層など ) に子宮内膜が存在し、炎症、癒着を起こし月経困難、骨盤痛、排便痛、性交痛や不妊の原因となります。
内診で子宮の可動性、超音波で子宮と卵巣の状態、採血で腫瘍マーカー等を調べます。
所見と現在の挙児希望の有無等により治療方針を決めます。
◆卵巣腫瘍
超音波で調べ、直径6センチ以上、6センチ以下でも悪性を疑う、組織型 ( 良性の奇形種など ) が明白な場合、手術が考慮され紹介とします。
その他は月経が来ると消失、もしくは縮小するため基礎体温の記載をし、経過を追います。
それ迄、来ていた月経が止まった状態です。
妊娠や、超音波で卵巣機能不全の原因と成り得る卵巣腫瘍の有無、エストロゲンの持続作用で発症する子宮内膜増殖症を疑わせる内膜肥厚の有無を確認した後、プロゲステロン製剤を7~10日程、内服し月経が来るか確認します。
内服後の月経の有無、現在の挙児希望の有無等により治療方針を決めます。
基礎体温を記載し、採血によるホルモン検査、クラミジア検査、卵管の通り具合 ( 子宮卵管造影検査が出来る施設に紹介 ) を確認後、卵胞径を測り妊娠し易い日を予測します。卵巣過剰刺激による副作用の対処が出来ないため、注射による排卵誘発はしておらず、内服迄としてます。内服で排卵し難い時は紹介させて頂きます。
閉経前後の5年間に起きるエストロゲン低下による諸症状です。
エストロゲンで維持される自律神経や精神安定作用低下により、ほてり、発汗異常、手足や腰の冷え、動悸、寝付きが悪い、イライラ、めまい、吐き気等を自覚します。
甲状腺ホルモン異常、うつ病等と鑑別し、生活に支障がある場合、漢方薬、ホルモン補充療法等で治療します。
膣から子宮 ( 子宮下垂、子宮脱 ) や膀胱 ( 膀胱瘤 ) 、直腸 ( 直腸瘤 ) が下りた状態です。
膣内ペッサリーによる固定と手術療法があります。
早める場合、月経開始5~7日目から、先延ばしの場合、予定月経の5~7日前から中容量ピルの内服を開始し月経を移動させます。
アスリートでドーピング検査が必要な方は使用出来ないホルモン剤がありますので申し出て下さい。
◆緊急避妊法
性交後72時間以内にノルデボのジェネリックのレボノルゲストレルを処方します。
◆経口避妊薬
低容量ピルとしてラベルフィーユ28 を用意しています。
受診、妊娠週数等を確認した上で相談に応じます。
必要に応じラミナリア桿による頸管拡張が必要です。
吉野産婦人科医院
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